ブラックバードとリボンちゃんの納豆大作戦
薄暗い路地裏、サングラスに黒コートという出で立ちの男、通称「ブラックバード」がタバコを燻らせていた。彼の向かいには、ピンクのフリフリワンピースに身を包み、頭には巨大なリボンを付けた少女、その名も「リボンちゃん」が立っている。
「リボンちゃん、例のブツは手に入れたか?」
ブラックバードが低く渋い声で尋ねると、リボンちゃんは無邪気にリボンを揺らしながら答えた。
「うん!ブラックバードさん!これだよ!」
リボンちゃんが差し出したのは、スーパーのチラシだった。
ブラックバードはサングラスの奥で目を細めた。
「……これは、スーパーのチラシだが?」
「そうだよ!このチラシに載ってる、激安の納豆!これが例のブツだよ!」
リボンちゃんは満面の笑みでチラシを掲げた。
ブラックバードは思わずタバコを落としそうになった。
「納豆……だと?我々が探し求めていた、世界を揺るがすほどの秘宝が、納豆……?」
「そうだよ!だってこの納豆、1パックたったの7円なんだよ!すごくない!?」
リボンちゃんのキラキラした瞳に、ブラックバードは言葉を失った。
「いや、確かに安いとは思うが……世界を揺るがすほどの秘宝とは、少し違うような……」
「そんなことないよ!この納豆があれば、世界中の人が安くお腹いっぱいになれるんだよ!世界平和も夢じゃない!」
リボンちゃんの熱弁に、ブラックバードは思わず感心してしまった。
「なるほど……確かに、その発想はなかった。しかし、いくら安くても、納豆だけで世界平和を達成するのは難しいのではないか?」
「大丈夫!ブラックバードさん!私には秘策があるんだ!」
リボンちゃんは自信満々に胸を張った。
「なんと、この納豆を……」
リボンちゃんはチラシの裏に印刷された間違い探しを指差した。
「この間違い探しを解いた人だけに、無料で配るんだよ!」
ブラックバードは、開いた口が塞がらなかった。
「間違い探し……?納豆を……無料で……?」
「そうだよ!そうすれば、世界中の人が間違い探しに挑戦して、頭も良くなるし、納豆も食べられて、一石二鳥だよ!」
リボンちゃんは得意げに笑った。
ブラックバードは、しばらく沈黙した後、深いため息をついた。
「……リボンちゃん、君は本当に、天才か、それとも……」
ブラックバードは言葉を濁し、再びタバコに火をつけた。
薄暗い路地裏に、再び静寂が訪れた。ネオンサインの光だけが、二人の奇妙な会話を静かに見守っていた。