ニホンオダバラリウム保護活動奮闘記!
「おい、山田!またサボって昼寝か!?」
「いや、課長!これは瞑想です!絶滅危惧種の保護活動の一環として、精神統一をしているのです!」
公園のベンチで堂々と寝そべる山田を揺り起こす、鬼瓦のような顔をした課長。山田はむっくりと起き上がり、涼しい顔で言い訳を始めた。
「精神統一?一体何の動物を保護しているんだ?」
「幻の珍獣、ニホンオダバラリウムです!今や世界にたった一匹しかいないと言われている、大変貴重な生き物なんですよ!」
「ニホン…オダバラリウム?そんな動物聞いたこともないぞ。第一、お前はいつも昼寝しているじゃないか。」
「課長、それは誤解です!私は寝ているのではなく、オダバラリウムと一心同体になるための儀式を行っているのです!オダバラリウムは夜行性なので、私も昼間は意識を動物側に寄せているのです!」
山田は自信満々に胸を張る。しかし、鬼瓦課長の顔色はますます険しくなっていく。
「夜行性なのに、なんで昼間に公園で寝転がっているんだ!?」
「それは…その…オダバラリウムは、夜に備えて昼間は太陽光を浴びてエネルギーを蓄えているのです!まるで植物の光合成のように!」
「…はぁ?動物が光合成だと?一体何を言っているんだ、山田!」
「課長、信じてください!これはれっきとした保護活動なんです!私はオダバラリウムと会話ができる唯一の人間なのです!今、オダバラリウムが私にこう言っています。『腹減った…何か食わせろ…』と!」
「…絶滅危惧種が腹減っただと?いい加減にしろ!それに、さっきからニホンオダバラリウムって…お前、まさか自分のこと言ってるんじゃないだろうな?」
「え?バレました?さすが課長、鋭いですね!実はオダバラリウムとは、私のことです!お腹が空いたので、何か食べに行きましょう!」
山田は満面の笑みで課長の肩を叩く。鬼瓦課長の額には、さらに深い皺が刻まれた。
「…山田、お前は本当に…ニホンオダバラリウムよりも絶滅した方がいいんじゃないか?」
「絶滅?それは困ります!私は世界にたった一匹しかいない、貴重なニホンオダバラリウムなのですから!」
今日も公園は、山田と鬼瓦課長のシュールな会話で満たされていく。ニホンオダバラリウムの保護活動は、まだまだ続くようだ。一体、誰が彼を保護するのかは、また別の話である。