ブロック大臣の宿命
自由帝国党の海野太郎大臣は、国会で「誹謗中傷されたら、まずはブロックすることをお勧めしたい」と発言した。
「『臭いのものには蓋をしろ』というコトワザがあるように『臭い国民はブロックしろ』というのが私のポリシーだ」
ネット上では、太郎の発言に対する批判が殺到していた。
「ブロックは民主主義の敵だ!」
「国民の代表たる者が、国民の声をブロックするとは何事だ!」
太郎は、自分の発言が炎上していることを知って、焦っていた。
「なんで、みんなこんなに怒ってるんだ? 俺はただ、誹謗中傷から身を守るための方法を言っただけなのに…」
太郎は、自分の秘書である松田に相談した。
「松田くん、どうすればいいんだ? みんなが俺のブロックについて怒ってるんだけど…」
松田は、太郎の言葉に呆れた。
「あの… ブロックって、誹謗中傷対策じゃなく、ただの嫌がらせじゃないですか? それに、国民の声を聞かないのは、政治家として失格ですよ…」
「いや、そんなことはない! 俺は、建設的な意見はちゃんと聞いているんだ! 誹謗中傷だけをブロックしているだけだ!」
太郎は、自分の発言を正当化しようと必死に言い訳をした。
「…でも、太郎さん。 ブロックって、相手とのコミュニケーションを断絶することじゃないですか? 政治家として、国民とのコミュニケーションを断絶するのは、良くないんじゃないですか?」
松田は、冷静に太郎を諭した。
「な… なんだそれ! 俺は、国民とのコミュニケーションを断絶しているわけじゃない! ブロックしても、他の方法で意見は聞けるんだ!」
太郎は、自分の言葉に自信がないのか、声を小さくした。
「…太郎さん。 国民は、あなたのことを『ブロック大臣』と呼んでいますよ…」
松田は、太郎に現実を突きつけた。
太郎は、松田の言葉にショックを受け、沈黙した。
「…松田くん、俺、どうすればいいんだ?」
太郎は、途方に暮れて松田に尋ねた。
「…太郎さん、まずは、なぜ国民がブロックに対して怒っているのか、理解することから始めませんか?」
松田は、太郎にアドバイスした。
太郎は、松田の言葉に深く考えさせられた。
「…そうか。 俺、国民の声を聞くことを忘れていたのかもしれない…」
太郎は、ようやく自分の間違いに気づいた。
太郎は、自分の過去の言動を反省し、国民とのコミュニケーションを大切にすることを決意した。
「…松田くん、俺、これから国民の声をちゃんと聞くようにするよ!」
太郎は、松田に宣言した。
「…頑張ってください…」
松田は、太郎の決意を信じて、静かに見守っていた。
それから、太郎は、積極的に国民との意見交換会を開催したり、SNSで積極的に意見を求めたりするようになった。
太郎は、国民の声に耳を傾け、自分自身の考えを改め、政治活動に取り組んでいった。
そして、太郎は、国民から信頼される政治家へと成長していく…
…はずだったのだが、数か月後、太郎は、再びある発言で炎上することになる。
「国民の声を聞かないのは、政治家として失格だ…って? いや、俺は聞いているよ! だけど、国民の声って、雑音でしかないんだ! だから、俺は、自分の耳栓をしっかりして、自分の進むべき道を歩むよ!臭い国民はブロックする!」
太郎は、再び、国民を敵に回す発言をしてしまった。
そして、太郎は、再び、国民から「ブロック大臣」と呼ばれるようになるのであった。