台風ヤギ襲来!?
「台風11号、ヤギだってさ。ヤギの台風が襲ってくるぞ!」
占星術師の星野さんは水晶玉を見ながら話し出した。
彼の水晶玉は、ただのガラス玉ではなく、未来を映し出すという曰く付きのものだ。
「ヤギ?台風の名前にヤギ?まさか、星座のやぎ座にちなんで?」
隣でコーヒーを啜っていたのは、気象予報士の雨宮さん。星野さんの突拍子もない発言にも、動じない。
「そう!ヤギ座の影響で、今回の台風は非常に凶暴になる!海は荒れ狂い、山は崩れ、ヤギが空を飛び…」
「ちょっと待ってください、星野さん。台風とヤギ座に何の関係があるんですか?気象現象は科学的に説明できるんですよ。」
雨宮さんは、冷静に星野さんの言葉を遮った。彼の目は、まるで台風のように鋭く光っている。
「科学?フン!科学で未来を予知できるのか?この水晶玉を見たまえ!ヤギが、ヤギが空を飛んでいる!」
星野さんは、興奮気味に水晶玉を雨宮さんに突きつけた。しかし、雨宮さんの目には、ただのガラス玉にしか映っていない。
「星野さん、それはただのガラス玉ですよ。ヤギは空を飛びません。台風は、気圧配置や水温など、様々な要因が複雑に絡み合って発生するんです。」
「うるさい!ヤギは飛ぶ!私の占星術は絶対に正しい!」
「いや、飛びませんって!科学的に証明されてますから!」
二人の言い争いは、まるで台風のように激しさを増していく。しかし、その最中、窓の外から一匹のヤギが空を飛んでいくのが見えた。
「ほら!見たか!ヤギが飛んでる!私の占星術は正しい!」
星野さんは勝ち誇ったように叫んだ。しかし、雨宮さんは冷静に答えた。
「あれは、たぶん凧揚げですよ。」
ヤギの形をした凧が、風に乗って空高く舞い上がっていた。二人の戦いは、まだまだ続きそうだった。