ピンクタイツマンの胃腸炎退治!
広島のとあるクリニック。受付にはいつもより多くの患者が詰めかけていた。その中には、ひときわ異彩を放つ男がいた。
全身ピンクのタイツに身を包んだ男、その名も「ピンクタイツマン」。自称正義の味方だが、その行動は常軌を逸しており、街ではちょっとした有名人だった。
「今日はなんだか人が多いですね」
ピンクタイツマンが受付の女性に話しかける。
「ええ、今日は胃腸炎が流行っているみたいで…」
受付の女性はピンクタイツマンの奇抜な格好には目もくれず、淡々と答える。
「胃腸炎ですか…それは大変だ!正義の味方ピンクタイツマンが、胃腸炎の悪者を退治してあげましょう!」
ピンクタイツマンは自信満々に宣言する。
「あの…胃腸炎はウイルスなので、退治とかできないと思いますが…」
受付の女性は呆れたように言う。
「そんなことはない!私の必殺技『ピンクフラッシュ』で、どんな悪者だってイチコロだ!」
ピンクタイツマンは胸を張る。
「ピンクフラッシュ…?一体どんな技なんですか…?」
受付の女性は興味津々に尋ねる。
「それは…企業秘密だ!見てのお楽しみだ!」
ピンクタイツマンはニヤリと笑う。
その時、クリニックの奥から「うぅ…」といううめき声が聞こえてきた。
「これは…悪者の仕業に違いない!ピンクタイツマン、出動だ!」
ピンクタイツマンはクリニックの奥へと駆け込んでいく。
奥の診察室では、数人の患者が苦しそうに横たわっていた。
「皆さんの苦しみは、私が必ず取り除いてみせる!覚悟しろ、悪者ども!」
ピンクタイツマンは患者たちに宣言する。
「あの…悪者じゃなくて、胃腸炎の症状なんですけど…」
患者の一人が弱々しく言う。
「うるさい!悪者は黙っていろ!今、私の必殺技で浄化してやる!」
ピンクタイツマンは構わず、ピンク色の光を放つ謎の装置を取り出す。
「ちょ、ちょっと待ってください!それ、何をするつもりですか…?」
患者たちは慌ててピンクタイツマンを止めようとする。
しかし、ピンクタイツマンは聞く耳を持たない。
「ピンクフラッシュ!」
ピンク色の光が診察室に充満する。
光が消えると、ピンクタイツマンの姿は消えていた。
「あれ…?ピンクタイツマンはどこに行った…?」
患者たちはキョロキョロと周りを見渡す。
その時、診察室の隅から「うっぷ…」という声が聞こえてきた。
声のする方を見ると、ピンクタイツマンが床に倒れこんでいた。
「あ…あれ…?私、どうしてここに…?」
ピンクタイツマンは混乱している様子だ。
「病院内で奇妙な行動をした挙句、結局ウイルスには勝てなかったみたいですね…」
患者の一人が呆れたように言う。
ピンクタイツマンは恥ずかしそうに顔を赤らめる。
「そ、そんな…まさか…」
こうして、ピンクタイツマンのクリニックでの活躍は、あっけない幕切れを迎えたのだった。
その後、ピンクタイツマンは胃腸炎の治療を受け、病院で騒ぎを起こした容疑で警察に連行されたという。
おしまい